《写真漢詩》四長、黄昏に金麦を想う。
「金麦」のテレビCMが好きだ。柳楽優弥と黒木華の「帰れば、金麦」シリーズである。二人は帰りの電車やバスの中で、脳内全てが金麦(ビール、第3のビール?)に支配される。そして唯々、缶ビールのタブを引っ張る瞬間を想像して、ニヤニヤする。その二人の表情が大好きだ。私もそんな時代があったな。 ビールの旬はいつか?殆どの人は夏って答える。でも、私は何故か、秋のビールが好きだ。暑いときに飲むビールは勿論最高だ。喉越しが堪らない。でも、収穫の秋!大地の恵み、海の幸、山の幸、全て食べ物が美味しくなる秋に飲むビールは美味い。肴が美味いだけでなく、ビール自体が上手くなっている気がするのだ。おかしいな、ビールの原料の麦の収穫期は春なのに。(麦秋という言葉はあるが、春のことだ。) 黄昏どきの仙台堀川公園 理由は解った。ビールの麦と並ぶ主原料のホップの収穫期が8月なのだ。日本であれば、北海道や東北で収穫のときを迎える。ホップは、ビールに香りや苦味を付ける。ビールの味はそのホップの新鮮さによって決まると言われている。そしてビールの醸造は1ヶ月から1ヶ月半かかるので、フレッシュなホップを使ったビールが飲めるのは、9月後半〜10月に なるという訳だ。欧米(最近は日本でも)で盛んに行われる収穫祭&ビールの祭典「オクトーバーフェスト」は正に、この新鮮なホップを味わうためにこの時期に合わせて開催されているのだ。 そんなことを考え歩く、仙台堀川公園はもう夕暮れだ。たった一週間前までは、この時間帯は明るかったのに。段々夜が早くなり、私の足取りも早くなる。そうどんどん早くなる。だって帰れば金麦!家人と二人のオクトーバーフェストだ。 自宅マンション、もう金麦まで10mだ! 大好きな金麦CMだけど、一言だけ言いたい。よくバス停で見かけるポスターのキャッチコピーについてだ。 「行きより帰りは、ちょっとうれしい。帰れば、金麦」 だ。「ちょっと」は明らかに間違っている!数倍だ!イヤ、無限大だ!そもそも比較する方が間違っている! サラリーマン生活40年、私は行きが嬉しかった日を、数えることが出来る。