《写真短歌》四長、モダニズムの館に興奮!(前編・豊田市美術館)
建築家谷口吉生は、昭和期の名建築家谷口吉郎(東宮御所・帝国劇場・東京近代美術館を設計、愛知県犬山市の明治村開設にも尽力)の長男。丹下健三氏に師事し、独立後は葛西臨海水族館、国立博物館法隆寺宝物館、土門拳記念館、長野県信濃美術館東山魁夷館等々、そしてニューヨーク近代美術館新館と次々とモダニズム建築の傑作を世に送り出している。
モダニズム建築とは、ル・コルビジェに代表される機能主義、合理主義を体現する建築である。それ以前の様式建築(歴史的な意匠)を否定し、工業生産による材料(鉄・コンクリート・ガラス)特有の構造美(面、線)を追求した。谷口吉郎の作品はその完成形だと私は思う。私は上述した彼の国内の作品は、既に豊田市美術館以外は全て見ていた。豊田市であれば、私の生まれ故郷の愛知県、いつでも行ける。とっておこうと思っていた。
私がこの「豊田市美術館」の建物の外観を、この眼で見たのは少し前のことだ。テレビCM(野村不動産)である。私が毎日見ている朝の経済番組の合間に流れていた。でも、結構長い期間、私は迂闊にも外国の建造物をロケで撮影したものだと思っていた。恐らくは野村不動産の米国にあるマンションか個人邸かと。「凄い建造物だな。でも海外(当時はコロナ禍下だ)、当分行けないな。イヤ、もう一生行くことも無い、見ることの無いな。」と、、、
昨秋、ふとその映像の隅に小さく字が書かれているのを発見、読めば何と「豊田市美術館」とあるではないか!それからの行動は早かったと思う。それが豊田市美術館であるなら、そのときの美術館の企画展が何かなど全く関係ないと、、、直ぐに行かねばと、、、とっておくなどとんでもない。そんなこと言っていたら、見ないで終わるかもしれない。
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美術館内、外観とは趣が異なるが、こちらもスタイリッシュだ。 |
実物は素晴らしかった。CM映像よりもずーっと。見学中は頭の中を、CMのバックミュージック、山下達郎の「NEVER GROW OLD」が流れていた。