「四長の紐育旅日記」(15)メトロポリタン・ミュージアム〜ドガの絵に閉じ込められる⁉️



 「メトロポリタン・ミュージアム」!マンハッタンの五番街に面し、セントラルパークの東端に位置する世界最大級の美術館である。

 私が「メトロポリタン・ミュージアム」を初めて認識したのは、1984年のことである。何故そんなに正確に覚えているかと言えば、その年の4月〜5月に、NHKの「みんなのうた」で、大貫妙子作詞・作曲・歌唱の「メトロポリタン美術館」が放送されたからだ。

「タイムトラベルは楽し メトロポリタン・ミュージアム 大好きな絵の中にとじこめられた🎵」

 歌のサビのフレーズが印象的で、何故か一度聞いてしまうと、頭の中でこのフレーズが、ぐるぐるとリフレインされた。

 私はもう社会人だったが、仕事で車を運転していたときなど、突然このリフレインが流れてくることがよくあった。


 NHKの「みんなのうた」の長い歴史の中でも、この歌は今でも人気ベストテンの常連だ。何故そんなに人気が持続しているのか?調べて見ると面白い。

 1984年のオリジナルで、歌と一緒に流れたアニメが怖かったという話が、友人との間で盛り上がるのだそうだ。

 特に歌の最後の部分で、主人公のアニメ少女が大好きな絵に、本当に閉じ込められたのは、子供達にはショッキングで、思い出すと夜トイレに行くのさえ怖かったということだ。

 因みに、その閉じ込められた大好きな絵とは、エドガー・ドガの「バレエのレッスン」だった。


 さて、その「メトロポリタン・ミュージアム」!特徴を一言で言えと問われれば、私は「アメリカのような」(少し前までのアメリカだが?)又は「ニューヨークの街のような」ミュージアムだと答えるだろう。


 何でも集める。コレクションの幅が極めて広く、古今東西!あらゆる時代、地域、文明、技法による作品を収集している。

 ある意味、無節操で、無秩序に何でも飲み込んでいるとも言える。良い言い方するならば、非常に!異常に包容力があるミュージアムである。

ティファニーのステンドグラス、メトロポリタンには結構大規模なティファニーの部屋・エリアがある。

 したがって、自分なりのテーマを見つけて鑑賞していかないと、徒らに時間を浪費し、収拾がつかなくなる。
 
 私のお勧めは、「まずはプロのガイドさんについて全体を俯瞰的に回る。その後、自分なりにテーマを一点絞り、それをじっくり鑑賞する」である。

人気のフェルメール、メトロポリタンはフェルメール作品を5点所蔵している。

 今回、私が絞ったテーマはドガだ。私のドガ好きは、私のブログ(仙台堀日記)の「四長、パリに行く‼️」シリーズの番外編(リンク)に詳しく書いた。

 オルセー始めパリの美術館でも、ドガの作品にフォーカスして見てきたつもりだ。そしてその中で、「アメリカ人のドガ好き」「ドガのアメリカ好き」、ドガとアメリカの相思相愛の関係を知った。今回はそれを改めてアメリカの地で確認したいと思ったのだ。

 相思相愛には、ドガの母親はニューオリンズ出身のアメリカ人で、ドガ自身も短期間だが、ニューオリンズで暮らしたことが影響したことは間違いないだろう。

 またドガの絶対的後援者「ヘンリー・オズボーン・ハヴマイヤー(※)」「ルイジーヌ・ハヴマイヤー」富豪夫妻の存在も大きかった。

ドガの「14歳の小さな踊り子」像、オルセーの(リンク)と比べるとこちらの方がチュチュが長く少し大人びた印象だ。
 
 夫婦は、ドガの壮年期からかなりの数の作品を購入した。そしてそれを、金ピカ時代の富豪の友人たちに、自宅パーティーで紹介したのだ。

 ドガ・ファンは増え、結果、ドガの生前に多くの作品が大西洋を渡り、世界最大級のドガ・コレクションがニューヨークに形成された。

 ドガは印象派の画家の中で、一番早くアメリカに受け入れられていた。現代のドガの国際的成功は母国フランスだけでなく、ハヴマイヤー夫妻のような19世紀のアメリカ資本に支えられていたのだ。





 そして、ドガの死後も、アメリカ富豪たちのドガ作品の蒐集は続いた。今回、何より驚いたのは、前に番外編(リンク)に書いた、ドガの死後アトリエから発見された大量の塑像・フィギュア!そう、彼が人知れずアトリエに籠り作り続けていた踊り子や浴女の塑像・フィギュア!に逢えたことだ。

 オルセーでも、あの塑像群は今何処にあるのだろうと思っていたが、何とルイジーヌによって購入され、海を渡っていたのだ。

 そして、ルイジーヌは「メトロポリタン・ミュージアム」に、夫婦のドガ・コレクションの大部分を寄贈した。

 何でもかんでも受け入れるメトロポリタン!包容力の塊のようなメトロポリタン!この数えきれないくらいの塑像たちをも、今も一つ一つ丁寧に展示していてくれる。

 お陰で、私の「3月のパリ」と「5月のニューヨーク」の旅が、しっかりと繋がった気がした。

ドガ「バレエのレッスン」


 最後に「バレエのレッスン」をじっくりと見た。素晴らしい!ドガの踊り子シリーズはパリでも、散々見ていたが、この絵は別格!さすがメトロポリタン!最高のドガを持ってるなって思ったときだ。

 急に頭の中で、あのリフレインが流れ出した。

 そうだ「大好きな絵に閉じ込められる」!この絵にアニメ人形の少女が閉じ込められたことを唐突に思い出した。

 当然ながら、絵の中には、人形アニメの少女はいない、45年の時空を越えて、ドガの魔法がやっと解けて、アニメの少女が絵から抜け出していったたような不思議な感覚に襲われた。

「タイムトラベルは楽し メトロポリタン・ミュージアム」である。



(※)夫の「ヘンリー・オズボーン・ハヴァマイヤー」は、19世紀末アメリカの「ギルデッド・エイジ(金ピカ時代」を代表する製糖業者、「シュガー・キング」と呼ばれた。





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