「四長の紐育旅日記」(13)グランド・セントラル・ターミナル〜オリエント急行の栄華は何処へ⁉️
マンハッタンの「グランド・セントラル駅」である。別名「ヴァンダービルトの駅」とも呼ばれる。
コーネリアス・ヴァンダービルト(※1)!ニューヨークの街の交通インフラを創り上げたニューヨーク黄金(金ピカ)時代の大立者である。
しかしその割には、ロックフェラーやカーネギー(リンク)、J・P・モルガン(リンク)(※2)等、彼と同時代、ともに資本主義の都・ニューヨークを創り上げた他の富豪達に比べると、何故か日本では馴染み薄い。
| グランド・セントラル駅の向こう側に聳えるのは、アールデコの傑作「クライスラー・ビル」!このアングルをニューヨークの代表的な景色とするニューヨーカーも多いそうだ。 |
でも、私にとってはお馴染みだ。勿論、ヴァンダービルト直接ではないが、彼がモデルの一人となったアメリカ、HBOの人気ドラマ「ギルデッド・エイジ〜ニューヨーク黄金時代」が大好きだったからである(今回のニューヨーク旅行の動機の一つである)。
劇中ヴァンダービルトは「鉄道王」ジョージ・ラッセルとして描かれる。
そのシーズン1では、ジョージ・ラッセルが妻バーサと一族の事業拡大のため、鉄道新駅建設法案の議会通過のため権謀術数を駆使、東奔西走する場面が展開される。
その新駅こそが、実はこの「グランド・セントラル・ターミナル」だったのだ。
| 駅舎は建て替えられ現在三代目、内部は宮殿のような荘厳さに満ちている。 |
ドラマでも描かれた通り、当時のマンハッタン、鉄道会社ごとの別々の終着駅があり、乗客は荷物を抱えて移動しなければならず、大変不便だった。これを一気に解消する一大ターミナル新駅を構想し実現したヴァンダービルト!の凄腕!並大抵ではない。
そして、その新駅も今や、44面のプラットフォームがあり、67本の路線が乗り入れる世界最大の駅に発展した。
ドラマの中のジュージ・ラッセルと同様、モデルのヴァンダービルトもかなり際どく強引な手段も駆使し目的を達成した。
それ故、今も駅正面にはコーネリアス・ヴァンダービルトの銅像が設置され、駅周辺の地名「ヴァンダービルト・アベニュー」は、彼の一族がこの周辺に住んでいたことから、その名がつけられている。
ニューヨーク郊外に住む日本人駐在員たちが、夜10時過ぎにこの駅に殺到し、その時間帯の電車は「オリエント急行」と呼ばれたそうだ。
ちょうどその頃、私は日本で一冊の本を読んだ。ニューヨーク事情に詳しいアメリカ通の作家・常盤新平(※3)の「キミと歩くマンハッタン」である。
その中に「オリエント急行の車内では、日本人駐在員を見つけるのは簡単だ。彼らは日本経済新聞を広げている」と書いてあったのを今でも覚えている。
読んだ当時、私は日本の地方都市で転勤を繰り返していていたので、本の中で自分が購読していた同じ日本経済新聞が出て来ても、不思議に何処か遠い国の話に感じていたものだ。
でも、今はその現場にいる。そうか!この通路を日本人モーレツ・サラリーマン達が、日本経済新聞を小脇に抱え、重いビジネスカバンを持って、最終電車に遅れまいと小走りに下って行ったんだ、、、
想像し少し感傷的になっていたら、、、ポケットのスマホのマナー・モードが震えて、現実世界に連れ戻された。
昭和は遠くなりにけり!今の日本経済に嘗ての勢いはない。それでも、今もまだ最終電車はオリエント急行と呼ばれているのだろうか?
例えまだ呼ばれているとしても、今は日本経済新聞も電子版をスマホで読む時代だ。常盤新平先生も現代のオリエント急行の中で、日本人を見つけることは少し難しくなっただろう。
| 駅のメインコンコースの天井には星座が描かれている。オリエント急行の乗客達も時々は見上げ、家路を急いだのだろう。 |
(※1)アメリカの「金ピカ時代(ギルデッド・エイジ)」を代表する実業家、「鉄道王」「海運王」と称された。11歳のときから学業を離れ、ニューヨーク港のフェリーで働き、一代で莫大な財を成した。正に「アメリカンドリーム」を体現する人物。オランダ移民をルーツに持つ。