《写真漢詩》四長、西域を語る(5)「大谷光瑞・大谷探検隊(前編)」

  大谷探検隊である。20世紀の初頭、浄土真宗本願寺派(西本願寺)第22代法主・大谷光瑞が西域に派遣した学術探検隊である。前後3次にわたって行われ、西域研究において世界的な業績を挙げた。

京都市・西本願寺御影堂

 しかし、最近でこそ、東京国立博物館の創立150周年記念特集で取り上げられ話題にもなっているが、私のような西域フェチ以外は、余り皆さん興味を持っていない気がする。それが残念で堪らない。

   大谷光瑞がこの探検隊の派遣を構想した動機は、当時日本で吹き荒れていた廃仏毀釈の嵐に対する仏教界トップとしての危機感であった。でも、その結果齎された研究成果は仏教界に留まらず、世界史・地理の中でブラックボックスになっていた西域の文明・歴史・地図を白日の元に晒すことになる。お陰で多くのシルクロードの謎が解明された。

 例えば、「謎の山であった霊鷲山」「動く湖ロプノール」「マガタ国の首都王舎城」「スバシ故城」「楼蘭や敦煌の経典やミイラ」など、数え上げればキリが無い。もっと評価されて良いし、学校の世界史・日本史の授業で、その学問的業績をしっかりと現在の子どもたちに教えるべきだと思う。

大谷探検隊踏査ルート

 そして、この旅は、単に調査研究の旅に留まらず、映画インディ・ジョーンズのようにロマン溢れる大冒険活劇であった。あの広い西域で、ロンドンから出発した隊員と、日本から出発した隊員が、お互い音信不通になりながら、偶然に敦煌で再会するなどなど奇跡の連続の旅でもあったと言う。私は日本制作のネットフリックス配信のドキュメンタリードラマのネタとして最適だと思うが如何?

 下の漢詩は、そのドキュメンタリーをイメージして詠んだ詠んだ七言律詩だ。


 さて、明日の後編では、大谷探検隊が。あの廃仏毀釈の嵐の中、日本仏教再興を賭けての西域の旅の膨大な資金をどの様に調達したのか?にスポットを当てたい。そこにも奇跡のドラマが!何と「四長」の先祖も登場!

※参照

 四長、西域を語る(1)「井上靖・敦煌」(リンク)

 四長、西域を語る(2)「田村能里子・風河燦燦・三三自在」(リンク)

 四長、西域を語る(3)「NHK特集・シルクロード・楼蘭を掘る」(リンク)

 四長、西域を語る(4)「久保田早紀・異邦人」(リンク)






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