《写真短歌》四長、西域を語る(3)「NHK特集シルクロード・楼蘭を掘る」
私の西域好きを決定的にした番組がある。1980年代放映された「NHK特集・シルクロード」だ。NHKの敏腕プロデューサー鈴木肇の企画で、当時人気絶頂の石坂浩二のナレーション、音楽も注目のシンセサイザー奏者・喜多郎と言う豪華布陣だった。西域に造詣の深い作家の井上靖、司馬遼太郎、陳舜臣らも撮影に同行した。(長年の念願が成就したからだろう。三人とも少年の様に目を輝かせ、張り切っていたのが印象的だった。)
番組のラインナップは第1シリーズの5回までを並べても「1.遙かなり長安」「2.黄河を越えて」「3.敦煌」「4.幻の黒水城」「5.楼蘭を掘る」と、今もタイトルを見ただけで、私の胸は騒ぎ、踊る。中でも圧巻は第5回の「楼蘭を掘る」だ。何とその番組の撮影中に女性のミイラ「楼蘭の美女」を掘り当ててしまったのだ。
当時、中国は鄧小平の時代、改革開放路線華やかかりしときで、日本から学ぼうという姿勢が鮮明であった。今では想像もつかないが、番組を見ていても、NHKへのリスペクトが滲み出ていた。鈴木プロデューサーの企画は大体が中国側に受け入れられたのであろう。日中関係が最も上手くいっていた時代だ。懐かしい。
このとき発掘された女性のミイラ、その名も「楼蘭の美女」、変な言い方かもしれないが、今見ても「ミイラなのに本当に美しい」。少し前に、ある番組で、このミイラの骨格から、生前の姿を復元(何故か90%正確に復元出来るとの触れ込みだった。)するという企画をやっていた。さぞかし絶世の美女に復元したのだろう。興味は大いにあったが、私は見なかった。
だって、私はミイラの姿で十分に満足している。根拠は何も無いが、私の独断で「楼蘭の美女」は井上靖の小説のヒロインのミイラということになっているのだ。従って、もうとっくに頭の中で、私好みの絶世の美女に復元されている。その美しいイメージが少しでも崩れる可能性があるならば、それは勘弁して欲しい。