《写真短歌》四長、西域を語る(2)「田村能里子・風河燦燦・三三自在」

 


  昨日のブログ(リンク)にも記したが、田村能里子の描く「西域の女性」は魅力的だ。華人風でもあり、ギリシア・ローマ風、アラビア風でもある。遠くアフリカの雰囲気もあるが、その何れでもない。それは正に「西域の女(ひと)」そのものだ。しなやかで健康的で、魅力的な顔つき、体つきをしている。エキゾチックで私も魅入られる。

 西域は、漢代には、その中央辺りのタリム盆地の中だけでも、西域36国と言われる国々があり、そこで様々な民族・言語・宗教が絡み合った。更にそこへ、シルクロードを通り、東から中国、西からはギリシア・ローマ、南からはインドの人々や文化が流入したのだから複雑だ。ある意味、カオスだ。当然、各民族の血も複雑に混じり合ったに違いない。

 昨日記した井上靖の西域小説に登場する女性たちも、このカオスに巻き込まれている。「敦煌」のウイグルの王女、「蒼き狼」のテムジン(ジンギスカン)の母や妻。強い意思を持ち、気品ある麗人に描かれているが、皆、民族興亡の戦いに巻き込まれ、時に不本意な男女関係を強いられる、、、

 私は田村能里子が、そんな井上靖の西域小説を意識して描いたかどうか知らない。でも、私は、彼女の描く現代の西域女性の屈託のない表情の中に、ふと、井上靖の小説のヒロインの影を感じる瞬間がある。それは時空を超える技量を持った画家からのプレゼントだと思い、楽しませていただいている。

京都・嵐山、天龍寺塔頭「宝厳院」襖絵 田村能里子作「風河燦燦・三三自在」(昼)

 もし、貴方が田村能里子の絵を少し纏めて見たいのなら、「ホテル椿山荘東京」で、いつでも壁画やアクリル画等を見ることが出来る。でも、私のお勧めは京都・嵐山、天龍寺の塔頭「宝厳院」の襖絵だ。この春の特別拝観でも公開していたが、年に何回かは公開されていると思う。その時に合わせて、これを見るためだけに、京都へ行く価値があると思う。三つの部屋それぞれ、三面にシルクロードの「朝」「昼」「夜」が描き分けられている。圧巻だ。

※参照 四長、西域を語る(1)「井上靖・敦煌」(リンク)

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