《写真短歌》四長、青春の藤棚が甦る。


 フジが満開を迎えている。ここは仙台堀に繋がる小名木川畔の遊歩道である。江東区は此処に一定間隔で藤棚を作り、その下にベンチを置いてくれた。運河ルネサンス(2月28日付け記事「運河ルネサンス」参照)の一環なんだろうけれど、粋な計らいである。まだ木が幼く、名所になるのはまだ先だが、私は近い将来、「汐浜運河の木蓮」(2月27日付け記事「ファースト木蓮」参照)と並び「小名木川の藤棚群」も江東区の花の名所になると秘かに(余り混んで欲しくないから秘かに)予測している。

 そのフジだが、実は蔓が右巻きの品種(ノダフジ)と左巻きの品種(ヤマフジ)の2種類ある。そのことを発見したのは現在NHKの朝ドラ「らんまん」で活躍中の牧野富太郎博士だ。朝ドラは私も毎朝楽しく拝見している。主人公の万太郎(牧野博士の幼名)は、何かというとすぐに地べたに腹ばいになり、草を見つめて色々呟く。この前の回で、茎か葉かが、右巻きか左巻きか拘って呟いていたが、このフジの大発見に繋がる伏線かと思いが至り、ひとり笑ってしまった。 

 私も都内有数のフジの名所「亀戸天神」(梅の名所としても有名)のフジがどちら巻か気になり確認したことがあるが、ノダフジだった。因みに此処、小名木川のフジもノダフジだ。江東区はノダフジで統一しているのかもしれない。

 そして私には、フジに関する忘れられない記憶がある。中学校入学間もない一年生のときだ。まだ校内全部を把握していない私は、友達と二人、放課後、学校の裏庭に探検に行った。そこには老木の藤棚があったのだが、その下で上級生の男女が寄り添って話をしていた。(確か生徒会長と副会長だったと思う。)それを見て、ウブな私たち二人は逃げるように慌ててそこから離れた。見ていてはいけないと思ったか?邪魔しちゃいけないと思ったか?まあビックリしたというのが一番しっくりくる。でも、上級生二人はテレビの青春ドラマの主人公みたいに輝いて見えた。少し羨ましく、私も頑張ろう(何を?)と思ったのも覚えている。もう半世紀以上前の話だ。あの頃の中学校や高校の裏庭には、そんなプラトニックな恋を味方する藤棚があった。(その藤棚は植物観察のためにあったという万太郎が言いそうな説も有力だが、ロマンチックではないので私は採用しない。)

そんなことを思い出している私に、小名木川の5月の風は爽やかだ。フジも優しく揺れた。





このブログの人気の投稿

≪写真漢詩≫四長の『現代漢詩論』

《写真漢詩・短歌》臨時増刊・四長、江東区でプリツカー賞を堪能する。

仙台堀日記・臨時増刊号《写真漢詩・短歌》四長、磯谷渚監督作品「ポーラーナイト」を語る。

《写真俳句》臨時増刊・四長、横須賀美術館で山本理顕氏のプリツカー賞受賞を祝う‼️

《写真漢詩》四長、ウィーンで「第三の男」を追跡す。