《写真短歌》京都吟行シリーズ(11)上七軒と「舞妓はレディ」
京都の上七軒通り。昨秋訪れ上七軒の五字路の交差点から北野天神へ通り抜けた。コロナ禍下、休日、夜と重なり、人通りはほとんどないが、歴史ある京都の花街の風情をしっとりと味わうことが出来た。「上七軒」の名前の由来は、室町時代に遡る。北野天満宮の再建の際に残った材木で、お茶屋を七軒建てたことから来ているようだ。街は西陣に近く、共に繁栄し、戦前はお茶屋も50軒を数えたと言う。現在はお茶屋は10軒、芸妓、舞妓合わせて31名がこの街で暮らしているそうだ。
この街を舞台とした映画と言えば、「舞妓はレディ」が有名だ。私の大好きな周防正行監督(※リンク)の2014年の傑作ミュージカルだ。監督は、こ映画の企画を20年以上温めていたが、なかなか主役の舞妓見習い役(春子)を演じる少女を見つけることが出来なかった。もう企画自体、半分諦めかけて、これが最後とオーディションに臨んだ。そして800名を超える参加者の中から、監督のイメージ通りの少女、当時15歳の上白石萌音を見出した。何か映画も顔負けのメイキング・ストーリーだ。
私も、この映画を見たとき思った。「名脇役たちが周りを固めてはいるが、この映画は上白石萌音あっての作品だ。」と、、、映画を見ていて、三つの世界が見事に重なった。それは、
①この映画のモチーフとなったオードリー・ヘップバーン主演のミュージカル映画「マイフェアレディ」の世界
②この映画「舞妓はレディ」の主役、舞妓見習い・春子の世界
そして、③鹿児島から上京して(恐らく薩摩訛りもあっただろう)、ミュージカルに挑戦する上白石萌音の世界
私は確信した。将来、上白石萌音は日本を代表するミュージカル女優になると、、、
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上七軒の終点・北野天満宮 |
実は同じ頃、私と同じことを考えていた人物がいた。小説家(今は日本大学理事長の方が有名か)林真理子女史だ。彼女はもっと具体的に予言していた。週刊文春?の連載エッセイの中で「『舞妓はレディ』の上白石萌音は素晴らしい。絶対にNHKの朝ドラの主役を張るに違いない。」と。
彼女の予言は7年後現実のものとなる。2021年上白石萌音は、NHK朝の連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」の主役を見事演じたのだ。ベストセラー作家の慧眼!恐るべしだ。