《写真漢詩・短歌》四長、彼岸花の群生に母の言葉を思い出す。



 「彼岸花(曼珠沙華)」である。仙台堀川公園はこの時期「彼岸花」が急にニョキニョキと伸びて来て赤い花を咲かす。群生しているところは、その唐突感からか、少し不気味だ。「彼岸花」は前に此のブログに書いた「秋桜」(※リンク)と違い日が短くなると開花する短日植物ではない。地中の温度に反応して茎を伸ばし花を咲かせる時期を探っている。地中の温度なので、温暖化の影響も軽微で安定しているのか、毎年律儀にお彼岸前後になると一斉に開花する。

 この「彼岸花」、最近は色々なところで見かけるようになった。私の小さい頃は、もっと植えてある場所が限定されていたような気がする。一番代表的な場所は墓地の周辺だった。お彼岸に墓参りに行くと、其処彼処に「彼岸花」が綺麗に咲いていた。後は田んぼや畑の畦道で時折見かけた。

 この地域限定にはちゃんとした理由があった。墓の場合は墓荒らしを防止するためだ。この場合の墓荒らしとは「モグラ」や「ネズミ」のこと。「彼岸花」には結構強い毒性があり、「彼岸花」を墓周辺に植えれば、「モグラ」や「ネズミ」は、決して近づかなかった。(明治時代までは土葬も一般的であったので、墓と「彼岸花」は完全にセットだった。)田んぼや畑の畦道も、「彼岸花」の役割は同じ、害獣から作物を守ることだった。

 そんな「彼岸花」、私の小さいときは、我が家では嫌われていた。祖母や母は、「彼岸花は縁起が悪い花だ。」とか、「家の周りに植えると、その家が火事になる。」とか言っていた。

 母などは「彼岸花にあまり近づくと、彼岸(あの世)に連れて行かれる。」と迄言って、私が「彼岸花」に近づくことを禁止していた。全く科学的根拠(毒性?)の無い、迷信めいた話ではあったが、小さい頃の刷り込みは恐ろしい。私は今でも「彼岸花」を見ると不気味な感じがして、少し怖くなる。見ないように目を伏せ、足早に走り去ることにしている。









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