《写真漢詩》四長、「静嘉堂@丸の内」で岩崎弥之助の偉業を讃える。




 「静嘉堂文庫」の静嘉堂とは、中国の「詩経」の詩句から採った岩崎弥之助の堂号である。三菱財閥二代目総帥・岩崎弥之助!兄の財閥の創始者・岩崎弥太郎に比べれば、かなり地味な印象だ。でも彼のその後の日本経済に与えた業績たるや、兄を凌ぐものさえあると言われている。兄・弥太郎にとって弟・弥之助は、この上無い賢弟であり、この二代目無くして現在の三菱グループはあり得なかった。(歴史に例をとれば、豊臣秀吉にとっての豊臣秀長か?それ以上だ。)

 そして、この賢弟・弥之助、活躍したのは三菱の企業活動だけでは無い。留学経験からロンドンやニューヨークのようなビジネス街が、国の経済発展のためには必須として、丸の内のビジネス街(一丁倫敦と呼ばれた)を開発するなど、国家的なプロジェクトを成功に導いている。

かっての「一丁倫敦」丸の内にある重要文化財「明治生命相互会社本社本館」の中に「静嘉堂@丸の内」はある。

 また、文化面でもスケールの大きな仕事をしている。前にこのブログで紹介した(※リンク)我がホームグランド仙台堀沿いに本格的な回遊式庭園「清澄庭園」を造園してくれたのも弥之助だ。そして極付きは、約二十万冊の古典籍と約6,500点の東洋美術品を、彼の子・小弥太とともに収集し、静嘉堂文庫に収めたことだ。その中には国宝7件と重要文化財84件が含まれている。もし彼らが収集しなければ、海外への散逸も免れなかったであろう品々だ。



 その「静嘉堂文庫」が丸の内にやって来た。昨年の10月の出来事だ。世田谷区岡本にあった文庫は岡本の地に馴染む良き風情の洋館であった。しかし、如何せん遠すぎる。丸の内に来てくれれば、桁違いの来館者が訪れることが出来る。三菱の至宝!日本の至宝!を身近に楽しむことが出来るのだ。

「静嘉堂@丸の内」入り口

 美術館の名前に入った「@」に、弥之助のDNAを受け継ぎ、現代に生きる三菱の末裔たちの覚悟のようなものを感じた。

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