《写真漢詩》四長、バックビルディングに怯える。

  小さい頃は、科学少年だった。科学者になろうと思っていた。小学校3、4年くらい迄だ。中学校に入って算数が数学に変わる頃には、自分が文化系であることは否応なく理解した。小さい頃、何故科学者になろうと思っていたかと言えば、それはもう手塚治虫の漫画の影響だ。「鉄腕アトム」は毎週欠かさず視聴し、チョコレートのオマケのアトムシールもしっかり収集していた。そんな科学少年だった私の未来予測で、大きく外れた予測が二つある。

 一つは、良い方に大きく外れた。IT技術の進化だ。手塚治虫の漫画の中でも、スマホやAIの様なものが出て来たが、少年ながら現実主義者の私は、少なくとも自分が生きている間には、そんなものは実現しないと思っていた。それが見事実現した。インターネットなんて想像だにしていなかった。素晴らしいことだ。

 二つ目は、悪い方に外れた。少年は「少なくとも、日本に於いては、将来水害は発生しなくなる」と予測していた。新しい堤防やダムや、水利工事が盛んに行われていたし、天気予報などの精度もどんどん上がっていた。子供心に地震は難しいだろうが、水害は科学の力が克服すると予測していた。

 狭い日本、隅から隅まで、高い堤防に覆えば、台風や集中豪雨が襲来しても押し返すことが出来る。被害は発生しない。そんな国になると信じていた。それがどうだ。相変わらず被害は発生し続けている。それどころか、水との戦いは少しこちらの分が悪くなっている気さえする。(水災を担保する保険料が高騰しているのが証左だ。)

 その原因は明白だ。私の小さな頃より、気象が狂暴化している。(地球温暖化の影響だろう。)最近では「線状降水帯」とか「バックビルディング」とか、小さい頃、名前も聞いたことの無い怪物まで現れている。

 「バックビルディング」とは、「線状降水帯」発生下、積乱雲が高層ビルの様に成長、上空の風に押し流されて、連なり進行し、長時間豪雨を降らす状態」を言うのだそうだ。何か、屋上から何十万トンもの雨水を溢れ流すビルが、連なって押し寄せてくる様で怖い。モクモクと膨らむ積乱雲はゴジラにも見える。もし、口から大量の水を吐くゴジラが何頭も次から次へと襲ってきたら、、、想像するだけで恐怖感を覚える。

 今年から、線状降水帯の予測の精度が向上、少し前倒しで警戒警報が出されることになるそうだ。予測の精度が上がること、警報が早まること、勿論良いことに違いない。それにより助かる命もあるだろう。でも実際に警報が出たら緊張するな。台風2号も近づいて来た。列島の南の海上の梅雨前線を刺激するのか、、、頭の中のゴジラのテーマが段々大きくなる。

※写真漢詩は昨年の夏、毎週末台風が来ていた。


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