《写真俳句》生きた化石は何を語るのか?(仙台堀・メタセコイアの森)


  仙台堀川公園の「原始の森」、生きた化石と言われる落葉針葉樹「メタセコイア」である。11月になっても夏日が続くなど異常気象ではあるが、見上げれば、少しづつ色が濃くなっている。「メタセコイア」の名は「メタ」と「セコイア」を合体させたもの。接頭語の「メタ」は「超えた」とか「高次元」とか、色々な意味を持つ。一方「セコイア」は巨大な常緑針葉樹で、樹高115mに達するものが報告されるなど、現生の生物の中では地球上で最も背が高いと言われている。米国の西海岸の国立公園などに自生、米国人が好きな樹の一つである。すると「メタセコイア」は「セコイア」を超えて高くなるのかと驚いたが、この場合の接頭語「メタ」は「後の」とか「別の」の意味で使われていると知り納得した。

新緑のメタセコイアの森

 この「メタセコイア」を発見したのが日本人であることを最近知った。京都大学で古代のフロラを研究していた三木茂博士だ。和歌山県橋本市の第三紀の地層から、新種の植物遺体(化石)として発見した。博士は化石から、葉・枝・球果などを類推、論文にして世界に発表した。1941年のことだ。

 ところが、事態は急変する。1946年、絶滅したと考えられていたメタセコイアの生存木が中国の湖北省で発見された。三木博士が研究から類推、論文に記載したのと寸分違わぬ姿で、、、、博士の研究は世界中で賞賛され、メタセコイアは「化石」から「生きた化石」に変身した。

 何処かで見た聞いたようなシーン!そう前回のNHKの朝ドラ「らんまん」に出てきそうなシーンである(出てこなかったと記憶している)。前にこのブログで書いた「植物細胞学」の池野成一郎!そして「古代フロア」の三木茂!日本の植物学、牧野富太郎だけではない!正に「らんまん」だ。

12月のメタセコイアの森

 毎度の蛇足だが、「メタセコイア」の命名者も勿論発見者・三木茂博士だ。シンプルな命名だが、キャッチーな響きで、その名が胸に刻まれる。80年経っても色褪せない。私はザッカーバーグが社名を「フェイスブック」から「メタ」に変えたと聞いたとき、「メタバース」よりこの「メタセコイア」が胸を過った。




P.S. 本日は、暦の上では二十四節気の「立冬」だ。昨日東京は最高気温28°Cの夏日、秋を完全に飛ばして、冬が立った。


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