《写真漢詩》四長、根津神社の鴎外贔屓を知る。(根津・上野吟行3)


 

   昨年9月末の文京区の「根津神社(根津権現)」である。境内を赤蜻蛉が群れ飛び、金木犀の薫りに満ちている。まだ七五三には間があるが、前撮り写真?なのか、モデル?なのか?外国人らしき美少年の撮影会が行われていた。

 此処、根津神社、境内は都内有数の躑躅の名所として知られる。また近所には、最初は森鴎外が住み、後に夏目漱石が住んだ「千朶山房」(現在は愛知県明治村に移築)があった。また、のちに森鴎外が後半生を過ごす「観潮楼」も近い。図らずも明治の二大文豪の所縁の地、通勤路や散歩道であったことは間違いないようだ。

 それ故か、二人もこの根津神社のことは、小説の中にしっかりと登場させている。森鴎外は「青年」「細木香以」に、夏目漱石は「道草」に地理的背景を読者に伝える重要な役割をしている。文豪二人と根津神社、当時はかなり深い関係であったようだ。

 そんな根津神社であるが、私から見ると、最近は二人のうち、森鴎外への傾斜をかなり強めている。なんと境内に台東区池之端にある森鴎外の旧邸(水月ホテル鴎外荘・コロナ禍で閉店、鴎外が最初の妻と住み「舞姫」を執筆した)を移築しようと計画しようと計画しているようだ。それも神社の総代会、全会一致で。貴重な文化遺産が生き延びるのは結構なことだ。でも日本武尊が創祀し、徳川幕府ゆかりの神社と森鴎外と関係あるのか(結構金も掛かる話だ)と思ったらちゃんと理由があった。森鴎外は根津神社の氏子だったのだ。権現様も身内には少し甘いみたいだ。



このブログの人気の投稿

《写真漢詩・短歌》臨時増刊・四長、江東区でプリツカー賞を堪能する。

《写真俳句》臨時増刊・四長、横須賀美術館で山本理顕氏のプリツカー賞受賞を祝う‼️

仙台堀日記・臨時増刊号《写真漢詩・短歌》四長、磯谷渚監督作品「ポーラーナイト」を語る。

≪写真漢詩≫四長の『現代漢詩論』