《写真漢詩・短歌》四長、烏帽子岩の前に平伏す。(ニューヨークタイムズと盛岡・番外編)

 

 

 盛岡市、櫻山神社の「烏帽子岩」である。2021年の秋に出逢った。圧倒的な存在感である。

 この岩に出逢うまで、私にとって「烏帽子岩」と言えば、サザン・オールスターズだった。「チャコの海岸物語」歌詞の3番に出てくる湘南・茅ヶ崎海岸の沖合にある「烏帽子岩」がそれだった。1,200万年前に海底の地層が隆起、その後、波の侵食で形創られたという。本当の名前は「姥島」だが、烏帽子に似ているところから、烏帽子岩と呼ばれている。

 唯、このサザンの「烏帽子岩」、私にとって難点がある。何しろ沖合い1.4kmにあって、近くまで行くことが出来ないのだ。(釣り人に混ざって上陸するツアーもあるみたいだが、船酔いしそうでその気にはならない。)サザンの歌の通り、「エボシ岩が遠くに見える」で終わっていた。


 一方、その日、私の目の前に出現した盛岡の「烏帽子岩」。こちらは274年前、盛岡城築城工事、地中から掘り起こされた巨石である。残念ながら茅ヶ崎の烏帽子岩には、知名度は雲泥の差で負けている。でも、こちらは直ぐ近くまで近づくことが出来る。御神体なので恐れ多いが、手を伸ばせば触れる距離まで近づけるのだ。

 櫻山神社の鳥居を潜り階段を登れば、崖の上にその岩の全貌が姿を表す。崖下から見上げた瞬間、その大迫力に圧倒される。先ずは、今此処で、大地震でも起これば、崖の上からこの石が転がり落ちてきて、押し潰されるだろうとの恐怖感が最初に来る。

 でもその恐怖感を押し殺して、岩を見つめていると、何故か徐々に心は落ち着く。(近くで見れば、岩の形状は本当に烏帽子そのものだ。それ故、烏帽子を被った神主にお祓いをして貰っている様な感覚も湧く。)岩が私の中の煩悩を潰してくれるような気がしてくる。不思議な感覚だ。盛岡一のパワースポット!間違い無い。漢詩も出来た。

最初の短歌とほぼ同じ思いを漢詩で詠んでみた。好みの問題だが、31文字より6文字少ない漢詩の方が最終句の「不思議心静」を入れ、より多くの情報を伝えることが出来る。漢字の持つ特性だろう。





このブログの人気の投稿

《写真漢詩・短歌》臨時増刊・四長、江東区でプリツカー賞を堪能する。

《写真俳句》臨時増刊・四長、横須賀美術館で山本理顕氏のプリツカー賞受賞を祝う‼️

仙台堀日記・臨時増刊号《写真漢詩・短歌》四長、磯谷渚監督作品「ポーラーナイト」を語る。

≪写真漢詩≫四長の『現代漢詩論』