《写真漢詩&俳句》四長、「さるすべりの悲劇」を告白する。



 「さるすべり」を詠んだ高浜虚子の名句「炎天の地上花あり百日紅」にオマージュして漢詩を詠んだ。虚子の俳句は、数ある夏の俳句の中でもお気に入りの句だ。「炎天」と「百日紅」はともに夏の季語であり、完全な季重ねの句だが、虚子大先生が詠めば、確信犯として絶賛される。しかし、一般の句会で私たちが詠めば、瞬間アウトだろう。その句を漢詩に入れ込むと「炎天地上百日紅!」と「起承転結」の「承の句(二句)」の切れ味が途端に鋭くなる。虚子の俳句の見事な切れ味が為せる技だろう。

 「さるすべり」、漢字で書けば「百日紅」と「猿滑」、二通りある。花言葉は沢山ある様だが、私がピンとくるのが「雄弁」と「不注意」だ。私の印象で恐縮だが、①漢字「百日紅」に花言葉「雄弁」、②漢字「猿滑」に花言葉「不注意」が紐付いている気がする。

  先ず、①の「百日紅&雄弁」グループだ。漢字の百日の通り、「百日紅」は、ほぼ夏中(7月〜9月)咲いている。花言葉「雄弁」の由来はその外観だろう。枝先に密生した縮緬のような花弁、私には「雄弁」というよりも「多弁」「饒舌」「お喋り」という印象だ。でも、虚子の俳句の如く、誰も歩いていない炎天下の道で、夏空に向かって凛と咲く「百日紅」を見れば、堂々としており、花言葉「雄弁」も十分に理解できる。


 次に②「猿滑&不注意」グループだが、これも漢字と花言葉の由来は外観だろう。でも、こちらは花弁ではなく、木の幹の外観だ。「ツルツルしており、木登り上手の猿ですら、手を滑らして上手く登れないのでは、、、だから不注意は禁物!」ってことだろう。

 誰も信じてくれないが、私は歩きながら「猿滑」の俳句を考えていて、マンションのスロープで足を滑らせ転倒した。正に不注意!圧迫骨折、この暑い時期に全治6ヶ月を宣告された。花言葉を侮ってはいけないことを体感した。

 ところで、「猿滑」、猿は本当に手を滑らして上手く登れないのだろうか?ずーっと疑問だったが、先日、友人の話で疑問は氷解した。彼曰く「猿は知らないが、自分の小さい時、家の庭にある猿滑の木を登ったことがある。自分でも全く問題なく登れたので、猿は簡単に登るだろう。」と。実証的且つ説得力のある話だった。



 

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