《写真漢詩》四長、「草魂」に共感する。
雑草の定義は諸説あるようだが、代表的なのは「生物学定義」と「社会学定義」の二つであると聞いた。「生物学的定義」の雑草とは「何らかの理由で土壌深く保存されていた種子が、人的要因または自然的要因の土地撹乱により、地表に発芽した植物」だそうだ。河川敷や道端に自然に生えている植物がそれで、単に「草」と呼ぶ場合も多い。
一方で「社会学的定義」の雑草は、主として農学の立場からの定義となる。即ち「作物に直接または間接的な害を齎し、作量を減少させる植物」とされている。その定義から明白なように「社会学的定義」の雑草はズバリ駆除の対象となる。
上の漢詩の写真の植物は「蔦」は雑草だろうか?「生物学的」には雑草ではないような気がするが、「社会学的」には微妙だ。もし、「蔦」が果樹園で葡萄なんかの横に自生すれば、雑草として駆除の対象であろう。コンクリートの壁に絡んでも、オーナーの意図しないものであれば、壁を痛めることとなるので雑草として駆除の対象となるだろう。
しかし、この「蔦」は逞しい。根性がある。炎天下、壁面を覆い尽くす勢いだ。思わず「草魂」という言葉が浮かんだ。
「草魂!」、草の魂と書き「ソウコン!」、良い響だ。私は昔から使われている言葉だと思っていたが、そうではないようだ。プロ野球元近鉄バッファローズの大エース鈴木啓治が、座右の銘として創った造語のようだ。当時プロ野球は、今と違い巨人軍一色の時代、パ・リーグの弱小球団では、どんなに本人が頑張っても、注目を集めることは無かった時代だ。自らを雑草に準えてのことだろう。
そんな時代、そんな環境の中、鈴木啓示投手はプロ野球歴代4位の317勝を挙げる。そして、鈴木啓示投手はプロ野球歴代1位の記録も2つ持っている。恐らくこれからも塗り替えられることの無い記録だ。一つは先発勝利数288勝!、もう一つが被本塁打数560本!である。如何にも「草魂」に相応しい大記録だ。