《写真漢詩》四長、岩岳でリヒャルト・シュトラウス「アルプス交響曲」を聴く。(安曇野・白馬吟行・夏8)
昨日に続き、今日も岩岳マウンテンリゾートからお届けする。此処の一番のウリの展望デッキに立った瞬間、ある映像が頭を過った。此処とは全く別の奈良県の大峯山の映像だ。修験道体験ツアーで参加者が、体を命綱でグルグル巻かれて絶壁から逆さづりにされる荒行「西の覗き」の映像だ。「覗く」のは何処か?「西」即ち「彼岸」、「死後の世界」である。ツアーの宣伝文句は「「一度死んで生まれ変わる」という擬死再生が体験出来ます。」だった。
此処岩岳の展望デッキも、見事に絶壁に迫り出している。その点に於いては、大峯山の絶壁と遜色が無い。私は逆さづりは勘弁して欲しいが、「死後の世界」は怖いもの見たさで、覗けるものなら覗いて見たい。早速デッキの手すりに掴まって下を覗いてみた。
当たり前だが、デッキから覗き見えた景色は「死後の世界」ではない。見えるのは、遥か彼方まで連なる山並み、そして美しい渓谷だ。圧巻!声も出ない。「死後の世界」のことなどすっかり忘れて眺めていると、渓谷の上を大きな黒い影が、ゆっくりと歩くように動いている。上を見上げれば、影の正体は明白!雲!大きな白雲が北アルプスの稜線に向かって、此方もゆっくりと流れていた。何とも形容し難い心地良さ、正に「生の世界」!、神の影を感じ、生かされていると思えた時間だった。


