《写真漢詩》四長、白馬村で隈研吾の「負ける建築」に出逢う。(安曇野・白馬吟行・夏6)

正面の設計は、周囲の環境に溶け込む工夫が感じられる。


 長野県白馬村の「スノーピークランドステーション白馬」、私が白馬村を訪れる際のベース基地である。東京から新幹線で長野まで行き、そこからアルピコバスに揺られて1時間余で、このベース基地に着く。レストランで食事をしたり、スタバでコーヒーを飲んでいると、ホテルから車で迎えに来てくれる。非常に便利なベース基地である。

 このベース基地、上の写真を見ての通り、正面はスタイリッシュであるが、割と普通で目立たない印象だ。でも入り口の自動ドアが開くと印象が一変する。屋内から見た夏の白馬連峰は圧巻である。見事な「額縁効果(※リンク)」!一幅の絵画のようだ。屋外から眺めるよりずーっと素敵な山並みに、私には感じられた。

見事な額縁効果!

 そして、裏庭に出てる。今度は山側から建物を見ると、このベース基地、誰の設計かピンとくる人は結構多いと思う

山側、結構派手だ!

この木組みで、誰の設計か想像出来る。
  

 そう、この設計者は隈研吾!今をときめく現代日本の建築界の第一人者だ。国産の木材をふんだんに使った設計に定評がある。最近、世間の耳目を集めた新国立競技場や高輪ゲートフェイ駅、角川武蔵野ミュージアム、赤城神社、皆んな皆んな彼の設計である。

 その全てに共通する彼のコンセプトがあり、それでいて、それぞれの立地の特徴を生かした個性がある。素晴らしいと思う。私は彼のファンであると言って良い。

 けれど、だいぶ前になるが、彼のインタビューを聞いた時は、少し違和感を感じた。彼曰く「自分の建築のコンセプトは、周囲と調和する『負ける建築』である。」と、、、『負ける建築』、、、そうかな十分に勝っているような気がするんですけど、、、前述の角川武蔵野ミュージアムや、M2ビル(東京メモリードホール)、富山ガラス美術館、銀座のティファニービル。皆んな周囲から際立って目立っているような気がした。ずーっとそう思っていた。

 でも、この「スノーピークランドステーション白馬」は、少し違うかな?これは確かに「負ける建築」かもしれないなと思わせる何かがある。周囲の環境と調和させるための配慮が、自らの気配は消しながら、主役の白馬連峰を勝たせ、生かし切る思想が感じられる。そしてその思想は建物の中でより強く感じられる。

 「負ける建築」の中から眺める夏の白馬連峰は一際美しい。山容がしみじみと心に沁みてくる気がする。「負ける建築」とは、その中に入った人の心をゆったり落ち着かせるものかもしれない。隈研吾の「負ける建築」の意味が、この日は少し分かる気がした。

写真はiPhoneで屋内からガラス越しに撮影、後で拡大した。



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