《写真漢詩》四長、ピサの斜塔に昇る(前編)。(海外シリーズ・シーズン4・エピソード3)


 『ピサの斜塔』である。イタリア、トスカーナ州、ピサ市のピサ大聖堂の鐘楼である。2016年訪れた。私は海外旅行の際、キチンと添乗員さんやガイドさんの話を聞いていないと家人に言われる。目に映る光景に神経が集中して、耳が機能していないのだと思う。この時もそうだった。『ピサの斜塔』を観光するのは承知していたが、まさかそれに昇るとは聞いてなかった。(他の人は皆んな聞いている。)

 現地に行って驚いた。「斜塔に昇って大丈夫か?」と思った。私たちが塔の上にいる時に地震が起きたら怖い。(イタリアも地震大国だ。)でも好奇心は恐怖に勝つ。覚悟を決めた。順番待ちの列は長い、人数制限をしてるからだ。当たり前だ、厳格にやって欲しいと思った。人数オーバーで斜塔が傾く、絶対にあってはならない。私が昇っている時は特に、、、


良く見ると最上階は鉛直だ。

 293段と言われる螺旋階段を昇る。途中外が見える箇所があるが、そこからの眺めは少し気持ち悪い。地平線が傾いて見えるのだ。最上階に着く。私はまた驚いた。私は最上階の床は当然斜めに傾いていると思っていたのだ。でも、そんなに傾いていない、水平に近いのだ。何故だ?後でガイドさんに聞いてまた驚いた。斜塔建築中に傾いたので、最上階だけは「鉛直」に造ったと言うのだ。傾いているのを知っていて完成させた!今なら完全に違法建築だ!最上階だけ鉛直にして誤魔化そうとしたのか?そんなの直ぐにバレる。それとも当時から斜塔を売りにしようと思ったのか?そうとすれば、それは大変な先見の明だ。

鐘は実際に鳴らすと塔が傾く危険があるため、スピーカーから鐘の音を流している。

 後日知ったが、『ピサの斜塔』はギネス世界第2位だと言う。何のギネスかと言えば、「意図せず傾いている建物(その傾き角度)」の世界2位だ。因みに映えある世界第1位はドイツの『ズールフーゼンの斜塔』だ。「意図して傾かせている建物」にはもっと傾いているのが中東のアブダビにある。35階の高層ビルだそうだ。(こちらの方が怖い。)

 「意図せず傾く」、うーん、挑戦しようにも難しすぎる。『ズールフーゼンの斜塔』と『ピサの斜塔』のギネス世界1、2位は半永久的に不動だと思う。




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