《写真漢詩》四長、安曇野でモネになる。(安曇野・白馬吟行・夏1)

 



 印象派の巨匠モネの「ポール=ドモアの洞窟」である。先日、国立西洋美術館で開催された「憧憬の地・ブリターニュ展」で撮影した。展示されているそれまでの古典的技法で描かれた海岸の絵とは、明らかに一線を画す技法で描かれている。天候や時間により、光が移ろい、それにより色彩も移ろうものであることが感じとれる。

 そうしたモネやルノアール、印象派の興隆をバックアップしたのが科学の進化であることはよく知られている。最大の貢献者はチューブ絵の具の発明だ。この発明によって画家たちは、海や山に写生旅行へ行き、その場で絵に彩色することが可能になった。

 また、丁度この頃、1860年代、まさに科学、光学や色彩学が飛躍的に進化した。ドイツのヘルツホルムや英国のマクスウェルによって、研究が一段と進み、光と色の関係(本当は人間の眼には色はどのように見えているのか?)が解明されていった。モネやルノアールもこうした科学情報には接していたはずだ。自分たちの描き方に強い自信を持ったに違いない。

真夏の安曇野

 ところで、普段私たちが印象派的に意識して、光と色を見ているかと言えば、それは疑問だ。そんな人はあまりいないだろう。勿論私だってそうだ。唯、私は一度だけ自分で強烈に「印象派」を感じたことがある。それには色々な条件が重なったのだと思う。条件とは①空気が澄んでいること②太陽光線が強いこと③風が吹いていることだと私は勝手に思っている。

 それが実現したのは、2022年の夏の安曇野でだ。安曇野の夏は暑い、名前からは想像つかないが、灼熱の地だ。熱中症危険警報も連日発出されている。その日も午前中から暑かった。でも、空気も澄んでいた。そして光も葉っぱも風に戦ぎ揺れていた。そのときだ。感じたのは、印象派を、、、私はモネになった、、、漢詩もできた。



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