《写真漢詩》四長、明神池で神の化身に遭う。(上高地吟行3)

 


 上高地の明神池である。池は穂高神社奥宮の神域にある。神社の御祭神は「穂高見命(ほたかみのみのみこと)」で、北アルプスの総鎮守、穂高連峰の最高点・奥穂高岳の頂上には嶺宮が造営されている。つまり山岳信仰の神で、山自体が神様と言う訳だ。

 成程、確かに梓川沿いの散策路を河童橋から歩き、明神池の方へ左折したあたりから、もう神聖な感じが漂う。神様のエリアに入ったことを感じる。でも、「山自体が神様か、、、何かイメージが掴みにくいな、、、」と私は罰当たりなことを考える。「基本、山は動かない。退屈じゃないかな?神様も」と考えたとき、ある考えが浮かんだ。山の神様も自分の化身を創って、自分エリアをパトロールしたりして、それなりに楽しくやっているのではと、、、



 私が考えた化身候補のイメージは2つある(いる)。一つは宮崎駿監督のアニメ「もののけ姫」のシシ神だ。シシ神の森を太古からずーっと守り続けている。神と名前がついているのだから、神様なのだろう。光る鹿のような美しいフォルムは、正に神の化身、この明神池にもよく似合う。

 もう一つは、東山魁夷画伯の「白い馬シリーズ」の白馬だ。彼が1972年描いた18点の風景画全てに小さく遠慮がちに登場する。深い森の中にあるこの明神池に似た湖、その湖畔を白馬は自由に歩き、佇み、緩やかに走る。登場当時は東山魁夷ファンも唐突感を覚えただろう。しかし不思議に風景に溶け合い、今では東山魁夷の代表的なシリーズとなっている。

この鳥居は有名な縁結びスポット、みんな真剣だ。


 でも、あの白馬はあくまでも馬で神様ではないなっと思ったとき、私は昔、伊勢神宮や熱田神宮にいた白馬を思い出した。神馬と書かれた札も思い出した。まさに白い馬は神の化身だったのだ。そして東山魁夷本人のインタビュー記事も思い出した。魁夷曰く「白い馬は何を表しているのかと、時々、人から聞かれますが、私は『白い馬は私の心の祈りです。』とだけ答えることにしている。」と。

 私の「山の神には化身がいる論」、そんなに外れていない気がしてきた。


 上の記事を書いたあと、宮崎駿「もののけ姫」と東山魁夷「白い馬シリーズ」にはモチーフとなった場所があったことを知った。「もののけ姫」は世界遺産の島「屋久島」の「白谷雲水峡」、「白い馬シリーズ」は長野県蓼科の「御射鹿池」とのこと。二人がその場所に何度もデッサンに通ったことは、有名な話だそうだ。

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