《写真漢詩》四長、五箇山で合掌造りのエコシステムに感動する(富山吟行6)。
富山県の「五箇山」である。隣接する岐阜県の「白河郷」とともに、1995年世界遺産に登録されている。初めて訪れ、「合掌造り」の建物にも初めて足を踏み入れた。感想は「これは良くできたエコシステムだ」である。この建物の中で藩や国を支える2つの産業の前工程が営まれていたと言うのだ。驚きしかない。その二つとは①生糸に於ける「養蚕」②火薬に於ける「煙硝(塩硝)」である。そして「煙硝(塩硝)」製造には蚕の糞が重要な役割をする。正にエコシステムだ。《詳しいシステムは「煙硝(塩硝)」でググれば載っている》
戦国時代、全国の大名は皆この五箇山の煙硝で出来た火薬を欲しがり争いも起きた。江戸時代は、煙硝が加賀藩の財政を支えたと言う。そして明治、日本の富国強兵は養蚕・生糸なくして成し得なかった。(勿論、養蚕はこの地方だけではないが、、、)
私は、今まで「合掌造り」は豪雪地帯で雪で屋根が潰れないためにあの構造をしていると単純に思い込んでいたが、それだけではないことを此処に来て知ることが出来た。「合掌造り」は日本の重要産業である「火薬・煙硝」と「生糸・養蚕」のための最適構造でもあったのだ。
唯、残念ながら、今は「煙硝」も「養蚕」も此処では営まれていない。江戸時代、明治時代、それらを求めてここを闊歩していたであろう取引商人たちも今はいない。夏の終わり、私たちのような旅人が疎らに歩いているだけだ。