《写真短歌》四長、海街diaryの聖地を巡礼す。(湘南吟行シリーズ6)

 


 鎌倉の名刹、長谷寺の散策路から見下ろした由比ヶ浜である。この風景から連想してしまう映画は是枝裕和監督の「海街diary」だ。この映画の魅力は、吉田秋生原作のコミックの素晴らしさ、主人公の四姉妹(洋の東西を問わず「細雪」「若草物語」と四姉妹モノは成功確率が高い)を演じる綾瀬はるか・長澤まさみ・夏帆・広瀬すずのそれぞれの魅力、脇を固める樹木希林・風吹ジュン・リリーフランキーのベテランの味と数えればキリがない。でも私がハマった理由は、この映画が小津安二郎監督作品を彷彿とさせること、鎌倉の隣町・大船にあった松竹大船調の映画だったからだ。

江ノ電「極楽寺」駅、長澤まさみと広瀬すずの朝の通勤通学シーン撮影現場

 私は、松竹大船撮影所で製作された小津安二郎監督映画は、「東京物語」「秋刀魚の味」「晩春」等々皆んな見ている。しかし大変失礼な話だが、それら作品の中で、人に粗筋を正確に話せるものは一つも無い。でも好きなのだ。あの映像が、あの雰囲気が、あの登場人物たちが、、、

 是枝監督がどれくらい小津監督作品を意識して、この「海街diary」を作ってくれたのかは定かではない。それでも、私にはこの映画の中の情景や人物が、全て小津作品のそれを意識させる。それは本当に嬉しいことだ。

極楽寺参道

 先日、新聞か雑誌のインタビューの記事で是枝監督が「海街diaryの綾瀬はるかの背筋の伸びた立ち居振る舞いに、原節子(小津安二郎作品常連の大女優)の昭和の香りを感じた。」と答えているのを読んだ。「背筋の伸びた立ち居振る舞い」、最近、あまり聞かなくなった表現だ。でも昭和の男である私にはグッと刺さる。是枝裕和、昭和が分かる優しい大人だと確信した。




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