《写真漢詩》四長、湘南で額縁効果を考える。(湘南吟行シリーズ5)
湘南海岸で額縁効果を実感した。額縁効果とは、風景を絵の額縁のように何かで囲むと、人間の視線は、そこに集中してするというものだ。(特に写真撮影には、被写体を建物や樹や、何かで周辺を囲えば、被写体が引き立ち、それっぽい写真になることから多用される。)
![]() |
鎌倉プリンスホテルから相模湾を眺める。画面中央、水平線の下にヨットが見える。(額縁効果が無い?写真) |
湘南の崖の上のホテルの部屋から海を見る、遥か沖合い水平線まで一望、目の前は全て海、素晴らしい!正に絶景だ。ずーっと見ていたいと思った。そしてずーっと見ていたら、段々辛くなってきた。最初は何故辛くなって来たのかよく分からなかったが、沖を行く一艘のヨットを見つけたとき、理由が分かった。人間、視線が集中出来ないと辛いのだ。豆粒のようなヨットでも、見つければ、視線が集中できると気分も楽になる。でも豆粒のようなヨットを見つめ続けていれば、それはそれで、また辛くなってくる。何か程よい大きさの額縁で切り取ってくれたら、それが一番楽だと気づいた。
湘南の国道134号線沿いを歩くと、建物の間から海が見える場所が沢山ある。建物が切り取った風景は、程よく視線を固定、集中出来て心地よい、これが額縁効果だと実感した。絵画も、写真も、そして映画も、目で見るアートはみんな額縁効果が支えているのだと改めて認識した。
そんなとき五言絶句の漢詩が浮かぶ、そうか、俳句も短歌も詩も、そして小説も、最初は目の前の風景が切り取られることから始まるんだ。視線の集中が思考の集中に繋がり、それがキッカケとなる。後は脳内の額縁の中で物語を進行させているのだ。文学も額縁効果か、額縁効果って凄い!全ての文化・芸術は額縁から始まる!それは過言ではない。(過言かもしれない。あくまでも個人的見解です。)
![]() |
写真は壁に切り取られて額縁効果あり |
そう、最後は、頭の中をサザンの「チャコの海岸物語」が流れた。音楽にも額縁効果があるみたいだ。