《写真漢詩》四長、門前仲町でジャスミンに包まれる。

  躑躅が終わりを迎えた門前仲町(永代通り)は、今ジャスミンの香りに包まれている。ジャスミンの香りと言っても正確には、ニオイバンマツリ(匂蕃茉莉)の香りだ。ニオイバンマツリ、即ち、匂い(匂)、それは外国(蕃)から来たジャスミン(茉莉)ということで、漢字は匂蕃茉莉と書く。本当にジャスミンの甘い芳香がするが、ジャスミンとは別属だそうだ。


 「ジャスミン!」、香りだけでなく、響きも素晴らしい。私は何故かチャイナドレスの麗人を思い浮かべる。この素晴らしい「ジャスミン」と言う響きを、歌詞に入れた名曲と言えば、尾崎亜美・作詞・作曲、杏里・歌唱の「オリビアを聴きながら」だ。

 尾崎亜美は、1980年代、化粧品会社のCMソングなど手がけ、私の好きなシンガーソングライターの一人である。先日、彼女がセルフカバーする「オリビアを聴きながら」がイヤホンから流れて驚いた。杏里ではなく、作者自身のセルフカバーが新鮮だったのか、歌詞がクリアに聴こえた。詩の情景が理解できた。驚いた。そうか、そうか、女性が男性を捨てる歌詞だったんだと。(原因は男性かもしれないが、、)

 この時代、いや現代でも、ラブソングの世界で「女性が男性に飽きて(?)男性を完全に捨て去る場面を、女性の側から描き切った」歌って珍しくないか?あのユーミンだって、中島みゆきだって挑戦していないのでは、、、それも結構ドロドロした情景を、「オリビア」や「ジャスミン」といった単語を散りばめ美しく。見事だ。尾崎亜美。もっと評価されて良いと思う。


 それ以来、尾崎亜美を再び意識するようになった。今日もスポティファイで聴いて歩いている。木場寄りの門前仲町にある私の事務所から、永代通りを富岡八幡を右手に見て駅に向かえば。この季節、ジャスミンよりジャスミンらしい匂蕃茉莉の香りを感じて何度も立ち止まってしまう。すれ違う人も半袖が増えた。ノースリーブの女性もいる。門仲の夏の扉が開くのはもう直ぐだ。



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