《写真短歌》作曲家シリーズ(4)エリック・サティ「ジムノぺディ第1番」
私に軽い(重いかな?)妄想癖があることは、このブログを読んで頂いている方はみんな気付いていると思う。何か心を動かされる人、物、事象があると、それをモチーフとしたショートストーリーを頭の中で妄想してしまうのだ。しばしばそれを「降りて来た」と表現して家人には注意される。(確かに「降りて来た」と言うほど、大したものが「降りて来た」試しは無い。)
最近は滅多に「降りて来ない」が、若い頃は、かなりの周期で「降りて来た」。サティについての話を少し考えてしまったのは、そんな「降りて来る」の全盛期だった大学生の頃だ。粗筋はこんな感じだ。
「ドイツの片田舎に生まれた音楽青年が、パリへやってくる。(ウィーンじゃなくて何故かパリだ。)モンマルトルの小さな下宿屋に住み、何処かの楽団に潜り込もうと、必死にリクルート活動をしている。でもそんなに簡単にはいかない。失意の日々を送る。そんな青年にも、気になる女性がいる。下宿屋の未亡人(何故かカトリーヌ・ドヌーブ風)だ。ある日、青年はひょんなことから、その未亡人に連れられカフェに行くことになる。酔客の喧騒に少し耳が慣れてくると、老人のピアニスト(サティかも)が弾く曲、青年が今まで一度も耳にしたことのないような不思議な曲が聞こえてくる。青年はドイツ出身であるだけに、ブラームスやワーグナーという偉大なる先輩を崇拝するバリバリの伝統音楽絶対主義者だ。そんな青年が、、、、」ってな、まあ、どこにでもありそうなストーリーだ。
サティは、音楽界の「異端児」「変わり者」と言われた。今でこそ「最も美しいピアノ曲の作曲者」などと、モテ囃されているが、生前は評価されず、生涯不遇を託った。(本人、不遇を楽しんでいた節もある。)私の学生時代も音楽の教科書に載ることは無く、ある人に「サティを知っているか?」と初めて彼の代表作「ジムノペティ第1番」を聞かせてもらった時には、世の中にこんな美しくお洒落で自由な曲があるのかと本当に驚いた。そしてそのすぐ後だった。日本にも空前のサティ・ブームが来て、色々な場面で、この曲が使われることになって行った。
ところで、「さっきのショートショートはどうなったんだ?」って、、、ご想像通り敢えなくボツ。時代考証が難しく、書き出せば結構長くなり、私の手には負えないから、、、それで、代わりと言ってはなんだが、もっとショートな短歌を一首。