《写真漢詩》四長、江之浦で測候する。

  もし、あなたが首都圏に居住し、日々の暮らしに少し退屈して刺激が欲しいと思っていたとしたら、それも日帰り旅行くらいのコスパとタイパで非日常を味わいたいと思っているとしたら、私は断然「江之浦測候所」訪問をお勧めしたい。

 「江之浦測候所」は現代美術作家の杉本博司氏が設計したランドスケープで、神奈川県小田原市江之浦にある。

夏至の軸線に沿ったギャラリー(夏至の日のみ、日の出の光がギャラリーの中を突き抜ける)

 氏の概説によれば、「悠久の昔、古代人が意識を持ってまずした事は、天空のうちにある自身の場を確認する作業であった。そしてそれがアートの起源でもあった。新たなる命が再生される冬至、重要な折り返し点の夏至、通過点である春分と秋分、天空を測候する事にもう一度立ち戻ってみる、そこにこそ微かな未来へと通ずる糸口が開いているように私は思う。」

夏至の軸線のギャラリーの先端部

 これを読んで、氏が何を言っているのか?その場所がどんなところなのか?直ぐに理解できる人は殆どいないと思う。そう、百聞は一見に如かず、先ずは行って見ることだ。少なくとも非日常を経験出来ることは、私が保証する。

 あまり参考にはならないと思うが、その時詠んだ漢詩(七言絶句)がこれだ。



 漢詩の写真は、相模湾に迫り出した「光学硝子舞台」(清水の舞台と同じ檜の懸造り)、それと平行に冬至の軸線のトンネルも迫り出て、その上に私の娘が海?空?水平線?にカメラを向けている。

 漢詩の最後は、娘は「地球を撮った。」とした。それは、彼女が立っている場所まで行くと、そこは大分海に迫り出しているので、平だった水平線が少し丸みを帯びて見え、地球が球体であることが実感できるからだ。

 でも、漢詩では詳しく触れることが出来なかったが、杉本博司の仕掛けはそんなものではない、

 実は彼女が立っているのは、冬至の軸線、冬至の日だけ、日の出の太陽光線を通す鉄のトンネルの上なのだ。彼女はその上に立つことによって、「地球が太陽系の惑星であること」も体感してるのである。

冬至の軸線のトンネル、一年で冬至の日だけ、日の出の太陽光線が通る。

冬至の軸線の先の相模湾、この冬至軸線トンネルの上に娘が立っている。

 最後に、「江之浦測候所」は事前完全予約制である。天気が悪くとも、それなりに楽しめるとは思うが、私の訪問時のように良いに越したことはない。できる限り周辺の気象を測候し、予約日を決めること、あとは日頃の心がけを良くすることをお勧めする。幸運を祈る。


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