《写真短歌》ピカソの時代(7)アメデオ・モディリアニ「少女の肖像」
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『ルネ』ポーラ美術館蔵 |
2018年アメデオ・モディリアニの裸婦の絵画「(左向きに)横たわる裸婦」が、サザビーズの落札額として過去最大の1億5720万ドル(約172億円)で落札された。そのニュースを聞いた時の驚きは今でもしっかりと覚えている。ロマンチストを自称しているが、実はリアリストである私は、あまり上品とは言えない二つのエピソードに思いを巡らしていた。
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こちらは「髪をほどいた横たわる裸婦」大阪中之島美術館蔵 |
モディリアニは、ピカソと同じ時代を、かの有名なモンマルトルの安アパート「洗濯船」で過ごした。しかし決定的にピカソと異なるのは彼が破滅的で不健康な生活を好んでいたということだ。彼は、毎日のように、モンマルトル周辺のカフェを徘徊、その日の酒代のため、カフェで隣席した客の似顔絵を描いて、無理やり売りつけていたという。
そうか、毎日のようにか、、、彼は35歳で夭折したとはいえ、それまで毎日である。1日で何枚も描いたこともあるとのことであり膨大な数だ。サインのある無しとか関係するだろうが、その似顔絵は一体一枚幾らの値が付くのだろうと、、、人ごとながら考えてしまった。モンマルトル周辺に住む人たちの中には、家の物置か何かに、曽祖父や祖父のそれらしき似顔絵が残っていないか、探し回った人もいたのではないか?確かに探し回る価値のある金額だ。
そして二つ目は、グレタ・ガルボのことを考えていた。彼女は現代でも歴代映画女優人気ランキングがあれば、イングリッド・バーグマンやオードリー・ヘプバーンとともに、必ず上位にランキングされる大人気女優である。彼女は絵画のコレクターとしても有名で、モディリアニについても「少女の肖像」を所有していた。
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グレタ・ガルボのマンション、壁一面に名画が飾られている。 |
彼女の全盛期に購入し、彼女が35歳で映画界を引退し84歳で亡くなるまで、ベールに包まれた隠遁生活の日々、手元に置き続けた名品である。現代もグレタ・ガルボ・ファミリー・コレクション所蔵ということで、2018年当時、門外不出であった。もし、サザビーズでオークションにかけられたら幾らになるのか?想像つかない。ひょっとしたら「(左向きに)横たわる裸婦」も上回る金額で落札されるのかもしれない。だってモディリアニの傑作に伝説の大女優グレタ・ガルボ所蔵(グレタ・ガルボが毎日眺めていた)という凄いプレミア付きだから、、、
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「少女の肖像」グレタ・ガルボ・ファミリー・コレクション蔵 |
そんなことを考えていた2018年から4年後の2022年6月、正に奇跡が起きた。何とそのグレタ・ガルボのモディリアニが!「少女の肖像」が!、大阪中之島美術館にやって来たのだ。世界初公開!早速見に行った。本物を目にすれば、元々はロマンチスト、お金の話も吹っ飛ぶ。感動した。その感動を詠んだのが下の短歌。敢えて何かを付け加えるとすれば、「長く生きていれば、良いことがある。」かな?そう思わせわせてくれる私にとって奇跡的出来事だった。