《写真漢詩・短歌》「孤高」が降りて来ない

 

 昨年の4月14日に詠んだ短歌だ。当時まだコロナが猛威を振るっていたこともあり、人とも逢えず、少し寂しげな短歌だ。でも何処か、当時の雰囲気にピッタリ合っていた。憧れていた「孤高」と言う境地にも少しだけ近づいたじゃないかと勝手に解釈し、一人悦に入っていた。でも、友人の反応は違った。「ウサギの24時間営業を詠んだのか?」と言うものだった。

 それで、慌てて、短歌の真意を伝えるために漢詩を詠み、友人にLINEした。それがこの七言絶句だ。

 やはり、漢詩(漢字)の情報量は違うな、短歌(仮名文字31文字)で伝えられないものが、漢詩(漢字28文字)だと伝えられると改めて思った。友人も「ああ、そうか、『孤高』と言う心境を言いたかったのね。」と納得してくれた。

 でも、ちょっと寂しかった、やはり「孤高」と言う文字は使わず、「孤高」を伝える短歌の技量を持ちたいものだと、密かに精進を誓った。

 そして、時は流れまた四月がやってきた。あれから一年、精進を重ね、短歌も沢山詠んできた。詠んだ短歌は300首は下らないだろう。空を見上げれば、ウサギは、今年も一人で餅を搗いている。絶好のシチュエーションだ。今度こそ「孤高」を詠んでやると意気込み、呻吟、苦吟した。でも「孤高」は待てど暮らせど降りてこない。

 原因は明らかだ。今はもう私の中の「孤高」が無いのだ。コロナもすっかり下火になり、友人や家族と飲みに行く機会も格段と増えた。三月、四月と桜も咲けば、世の中はすっかりお花見モード、私も盛り上がるしかないだろう。私が「孤高」を詠むなど、十年早いと言うことだ。

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