《写真漢詩》今年も桜桃忌がやって来た。


 「太宰治」の原風景、上の漢詩にある通りそれは彼の生まれ故郷「津軽」の風景である。

 先日、NHKの特集で、司馬遼太郎のエッセイ「街道を行く」の「北のまほろば」を取り上げていた。生前の司馬氏は少し意外に感じられるかもしれないが、日本の昭和の作家の中で太宰治を一番評価していた。また熱心な愛読者であり、全集を何度も読破していたそうだ。そんな太宰ファンと言って良い司馬氏が津軽を訪れた特集「北のまほろば」は、ある意味太宰の原風景を辿る旅でもあった。私も「北のまほろば」は複数回読んではいたが、それは新しい気付きであり面白かった。

 また、これも最近、新聞で司馬氏がある講演の中で、太宰について「彼は破滅型でも自堕落でもない。「聖書」の文体が好きで、小説の中で引用したように、聖なるものへの憧れが、彼を文学への道に突き動かした。」と断じているという記事を読んだ。これも面白い。太宰好きの私は大いに共感する。興味深かった。

 そんな中、今年も「桜桃忌」がやって来た。6月19日は、太宰治の命日として知られている。でも、正確には玉川上水で入水自殺した太宰治の遺体が発見された日(図らずも彼の誕生日でもある)であり命日ではない。それ故、私は「桜桃忌」は太宰ファンもアンチ太宰も、それぞれ太宰治を考察しながら太宰治を偲ぶ日だと勝手に考えている。今年、私は先述の司馬氏からのサジェスチョンをベースに「太宰の原風景と聖なるもの」を自分なり考察する日にしたいと思っている。

 長くなったが、私が漢詩で言いたかったのは、そんなことだ。

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