《写真短歌》京都吟行シリーズ(6)我が人生の天王山(大山崎山荘美術館にて)
アサヒビール大山崎山荘美術館である。関西の実業家、加賀正太郎氏が自ら設計した「大山崎山荘」、安藤忠雄設計、クロード・モネの「睡蓮」の連作が納められた地中館「地中の宝石箱」、同じく安藤忠雄設計の新しく竣工した山手館「夢の箱」と魅力満載の美術館であるが、今回で3回目の訪問となる私には明確な目標があった。それは山荘のカフェテラスからの眺望を楽しみながら、ビールを飲むことである。そのビールを美味しく頂くために、美術館のリムジンやタクシーには乗らず、天王山の坂道を徒歩で登った。
カフェテラスからの眺望、それは特別なものである。山荘があるのは豊臣秀吉が明智光秀を破った山崎の戦いで有名な天王山の中腹にあり、目の前には、桂川、宇治川、木津川の三つの川が合流して淀川となる大パノラマが広がる。この大パノラマを見て、アサヒビールのスーパードライを飲み干せば、気分はすっかり秀吉になる。秀吉になれば、我が人生の天下分け目の戦い、天王山は何処なんて、分不相応なことも考えてしまうのである。
自らの平凡なサラリーマン生活に天王山などあるはずは無いが、一応、短歌の如くざっと人生を振り返ってみる。うーん、うーん、やっぱり天下分け目の戦いで、英雄たちの決断が求められるときなど私の人生に無かったなと、気分が急速に萎んだときに、横で悠然とコーヒーを飲んでいる家内の存在に気が付いた。そうか、我が天王山は此処にあったのか。あの40年前のあの決断が人生の最大の選択だったと気が付いた。その瞬間、不思議な納得感と安心感に包まれた。
明日は、一日京都吟行はお休みして、緊急アート編をお届けします。京都吟行は明後日再開の予定です。