《写真漢詩》京都吟行シリーズ(7)東寺五重塔初層特別拝観

 東寺の五重塔の初層(1階部分)内部を見ることが出来ました。東寺開祖の弘法大師空海には大変申し訳ない話ですが、今回の東寺訪問は完全に時間調整のつもりでした。そのため何の下調べも無く訪れることになりましたが、、何と「五重塔初層特別拝観」が、そのとき偶然に開催されていたのです。初層拝観は原則正月3が日と後は特別なケースだけとのこと、そうか、ラッキー!持ってるな俺!って感じで北大門から入りました。(そのときは、まだ軽いノリです。)

 
 でも、塔の内部に入れば、その軽いノリは瞬間吹っ飛びます。そこには驚きの世界が広がっています。極彩色(勿論、だいぶ擦れてはいますが、完成当時の彩色が想像出来る色が十分残っています。)の密教の宇宙(金剛界)曼荼羅の世界です。ところが、これが宇宙曼荼羅であるとしたら、その宇宙の中心にいるはずの大日如来が居ません。塔の大黒柱である心柱を、阿弥陀如来をはじめとする錚々たる諸仏が囲んでいるだけです。説明を聞けば、「何と心柱が、大日如来、ご本尊そのもの」だそうです。

 そして、その宇宙曼陀羅を、壁面に描かれた八人の高僧たちが眺めています。八人の中で日本人は弘法大師、空海だけですが、一番イケメンに描かれています、何やら誇らしい気もしました。

 その密教世界を読んだのが次の七言律詩の漢詩です。(内部は撮影NGでした。理由は彩色の保護のためでしょう。代わりにはなりませんが、拙い漢詩で内部の様子を描写しました。)



 塔の心柱には、もう一つ驚かせられました。今回の特別拝観、本当に特別な大サービスがありました。覗き窓から地層部分を見ることが出来たのです。覗くと心柱と礎石が見えますが、心柱は礎石の上に乗っているだけです。地中深く埋められている姿を想像しますが、本当に乗っているだけです。これが免震構造になって地震の揺れを吸収する、つまり心柱がダンパーの役割をするのだそうです。

(この免震構造は、最古の法隆寺を始め、日本中に、五百数塔あると言われる三重塔や五重塔の多重塔に共通の構造です。そして千三百年の歴史上で倒れた塔は確認されていないとのこと。東寺はその中でも、現在も木造建築物の中で最も高い55mの高さを誇っています。)

 凄いぞ東寺五重塔!偉いぞ心柱ダンパー構造!大日如来に相応しい活躍!仏教(密教)のレジリエンスには脱帽です。



このブログの人気の投稿

≪写真漢詩≫四長の『現代漢詩論』

《写真漢詩・短歌》臨時増刊・四長、江東区でプリツカー賞を堪能する。

仙台堀日記・臨時増刊号《写真漢詩・短歌》四長、磯谷渚監督作品「ポーラーナイト」を語る。

《写真俳句》臨時増刊・四長、横須賀美術館で山本理顕氏のプリツカー賞受賞を祝う‼️

《写真漢詩》四長、ウィーンで「第三の男」を追跡す。